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2024年1月26日金曜日

 南海トラフ巨大地震の想定?- ②





前回記事に引き続き、今回は南海トラフ地震の「4つのシナリオ」を想定してみよう。


南海トラフ巨大地震は確認できる限り歴史上9回起きており、近い将来日本列島で発生する最

大の地震被害が想定されている。

南海トラフ巨大地震の想定の多くの場合では、陸域の真下が震源域となっている。震源に近

い地域では、阪神・淡路大震災(直下地震)の時のような激しい揺れが長く続く可能性があ

る。激しい揺れが長く続けば、多数の建物や設備などが倒壊・損壊する率が増し、人的被害

が一段と増えることが懸念されている。
















南海トラフで発生する地震を規模(想定震源断層域の面積)や被害の大きさなどから、「全

割れ」「半割れ」「一部割れ」「局所割れ」の4つに分類されている。


南海トラフで想定される地震 - 4つの分類



















『全割れ』


南海トラフの想定震源域の太平洋側が一気に襲われる巨大地震で、南海トラフ沿いのすべて

の地域で被害が生じる地震。過去の事例で「全割れ」に該当するといわれるのは1707年の宝

永地震。

















『半割れ』


想定される震源域のすべてが割れるのではなく、時間をおいて部分的に割れ目が伝播(でん

ぱ)する。これは「半割れ」と呼ばれる現象で、震源域の片方でM8以上の地震が発生した

後、残りの地域で連動して地震が起きる。

過去の例を見ると、こうした「半割れ」の時間差は2年から数十秒までとバラツキがある。具

体的に見ると、前回は昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(46年)が2年差で発生

し、前々回の幕末(1854年)には安政東海地震の32時間後に安政南海地震が起きた。






















東北大学などの研究グループは、南海トラフ沿いで最初の巨大地震が発生した後の1週間以内

に同規模の後発地震が起きる確率が、平時の99~3600倍に高まることを明らかにしている。

国は南海トラフでM8~9級の巨大地震が、30年以内に70~90%の確率で起きると試算してい

るが、その発生日時を予知することは現在の地震学では不可能である。よって、震源域の片

方で地震が発生したら、ただちに残りの地域で連動地震を警戒する必要がある。

このケースで怖いのは、地震や津波で大きな被害が出ている地域の救出や支援、復旧活動を

している間に、被害が出ていなかった別の地域でも地震が発生することです。

復旧活動の途中で2度にわたって激しい揺れや大津波に襲われる地域もあるほか、他県など

からの救助や医療支援の手が十分行き届かなくなり、最悪の場合、経済損失額(GDP)は年間

100兆円以上にのぼるなど、被害の長期化が懸念される。











2024年1月25日木曜日

 南海トラフ巨大地震の想定?- ①




今回の能登半島地震を機に、今後想定される「南海トラフ地震」について調べてみた。


南海トラフ地震は、日本の太平洋沖合いで想定されるのだから余り関心がないと思っている

方はいませんか?、他人事ではありません、もし事が起こった場合には人的、建造物、イン

フラ、火災などあらゆる面で非常に甚大な被害・災害が想定され、極端な話し日本全体の国

民生活(経済)を揺るがすかも知れません?


まず、南海トラフ地震とは・・・


駿河湾(静岡県)から日向灘沖(宮崎県東部沖合)にかけてのプレート境界を震源域として

概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震です。前回の南海トラフ地震(昭和

東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから80年が経過した現在

では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。


「南海トラフ」の区域を確認してみよう(図-1)


駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリ

ピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海

トラフ」といいます。


(図-1)日本付近のプレートの模式図



















地震発生メカニズム(図-2)


この南海トラフ沿いのプレート境界では、①海側のプレート(フィリピン海プレート)が陸

側のプレート(ユーラシアプレート)の下に1年あたり数cmの速度で沈み込んでいます。②

その際、プレートの境界が強く固着して、陸側のプレートが地下に引きずり込まれ、ひずみ

が蓄積されます。③陸側のプレートが引きずり込みに耐えられなくなり、限界に達して跳ね

上がることで発生する地震が「南海トラフ地震」です。①→②→③の状態が繰り返されるた

め、南海トラフ地震は繰り返し発生します。


(図-2)発生メカニズムの概念図



















過去事例(図-3)


南海トラフ地震の過去事例を見てみると、その発生過程に多様性があり、宝永地震(1707

年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8クラ

スの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりしています。さらに、隣接する

領域で地震が続発した事例では、安政東海地震(1854年)の際には、その32時間後に安政南

海地震(1854年)が発生し、昭和東南海地震(1944年)の際には、2年後に昭和南海地震

(1946年)が発生するなど、その時間差にも幅があることが知られいる。


(図-3)過去に発生した南海トラフ地震の震源域の時空間分布