南海トラフ巨大地震の想定?- ②
前回記事に引き続き、今回は南海トラフ地震の「4つのシナリオ」を想定してみよう。
南海トラフ巨大地震は確認できる限り歴史上9回起きており、近い将来日本列島で発生する最
大の地震被害が想定されている。
南海トラフ巨大地震の想定の多くの場合では、陸域の真下が震源域となっている。震源に近
い地域では、阪神・淡路大震災(直下地震)の時のような激しい揺れが長く続く可能性があ
る。激しい揺れが長く続けば、多数の建物や設備などが倒壊・損壊する率が増し、人的被害
が一段と増えることが懸念されている。
南海トラフで発生する地震を規模(想定震源断層域の面積)や被害の大きさなどから、「全
割れ」「半割れ」「一部割れ」「局所割れ」の4つに分類されている。
南海トラフで想定される地震 - 4つの分類
『全割れ』
南海トラフの想定震源域の太平洋側が一気に襲われる巨大地震で、南海トラフ沿いのすべて
の地域で被害が生じる地震。過去の事例で「全割れ」に該当するといわれるのは1707年の宝
永地震。
『半割れ』
想定される震源域のすべてが割れるのではなく、時間をおいて部分的に割れ目が伝播(でん
ぱ)する。これは「半割れ」と呼ばれる現象で、震源域の片方でM8以上の地震が発生した
後、残りの地域で連動して地震が起きる。
過去の例を見ると、こうした「半割れ」の時間差は2年から数十秒までとバラツキがある。具
体的に見ると、前回は昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(46年)が2年差で発生
し、前々回の幕末(1854年)には安政東海地震の32時間後に安政南海地震が起きた。
東北大学などの研究グループは、南海トラフ沿いで最初の巨大地震が発生した後の1週間以内
に同規模の後発地震が起きる確率が、平時の99~3600倍に高まることを明らかにしている。
国は南海トラフでM8~9級の巨大地震が、30年以内に70~90%の確率で起きると試算してい
るが、その発生日時を予知することは現在の地震学では不可能である。よって、震源域の片
方で地震が発生したら、ただちに残りの地域で連動地震を警戒する必要がある。
このケースで怖いのは、地震や津波で大きな被害が出ている地域の救出や支援、復旧活動を
している間に、被害が出ていなかった別の地域でも地震が発生することです。
復旧活動の途中で2度にわたって激しい揺れや大津波に襲われる地域もあるほか、他県など
からの救助や医療支援の手が十分行き届かなくなり、最悪の場合、経済損失額(GDP)は年間
100兆円以上にのぼるなど、被害の長期化が懸念される。
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