2024年1月25日木曜日

 南海トラフ巨大地震の想定?- ①




今回の能登半島地震を機に、今後想定される「南海トラフ地震」について調べてみた。


南海トラフ地震は、日本の太平洋沖合いで想定されるのだから余り関心がないと思っている

方はいませんか?、他人事ではありません、もし事が起こった場合には人的、建造物、イン

フラ、火災などあらゆる面で非常に甚大な被害・災害が想定され、極端な話し日本全体の国

民生活(経済)を揺るがすかも知れません?


まず、南海トラフ地震とは・・・


駿河湾(静岡県)から日向灘沖(宮崎県東部沖合)にかけてのプレート境界を震源域として

概ね100~150年間隔で繰り返し発生してきた大規模地震です。前回の南海トラフ地震(昭和

東南海地震(1944年)及び昭和南海地震(1946年))が発生してから80年が経過した現在

では、次の南海トラフ地震発生の切迫性が高まってきています。


「南海トラフ」の区域を確認してみよう(図-1)


駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリ

ピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を「南海

トラフ」といいます。


(図-1)日本付近のプレートの模式図



















地震発生メカニズム(図-2)


この南海トラフ沿いのプレート境界では、①海側のプレート(フィリピン海プレート)が陸

側のプレート(ユーラシアプレート)の下に1年あたり数cmの速度で沈み込んでいます。②

その際、プレートの境界が強く固着して、陸側のプレートが地下に引きずり込まれ、ひずみ

が蓄積されます。③陸側のプレートが引きずり込みに耐えられなくなり、限界に達して跳ね

上がることで発生する地震が「南海トラフ地震」です。①→②→③の状態が繰り返されるた

め、南海トラフ地震は繰り返し発生します。


(図-2)発生メカニズムの概念図



















過去事例(図-3)


南海トラフ地震の過去事例を見てみると、その発生過程に多様性があり、宝永地震(1707

年)のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8クラ

スの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりしています。さらに、隣接する

領域で地震が続発した事例では、安政東海地震(1854年)の際には、その32時間後に安政南

海地震(1854年)が発生し、昭和東南海地震(1944年)の際には、2年後に昭和南海地震

(1946年)が発生するなど、その時間差にも幅があることが知られいる。


(図-3)過去に発生した南海トラフ地震の震源域の時空間分布































2024年1月24日水曜日

 能登半島地震・余震は数10年後まで続くか?




地震活動のパターンには3つのパターンがあります、多くの場合、大地震は突然発生しま

す。その震源近くでは、最初に発生した大地震よりも規模の小さい地震が引き続いて発生す

ることが多く、これを余震といいます。この場合、最初に発生した一番大きな地震のことを

本震といい、このような地震活動のパターンを「本震-余震型」といいます。

今のところ、今回の能登半島地震は「本震-余震型」と言われていますが、その地震活動が

終わるまでは判別できません。

1月1日夕に起きた能登半島地震は、過去の大地震と比べても余震の数が多くなっている。

発生直後の同じ期間で比べると、M7.8だった1993年の北海道南西沖地震とほぼ同じ。

いずれもM7.3だった1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)や2016年の熊本地震

の約3~4倍となっているという。

余震が多いことについて、政府の地震調査委員会の平田直委員長=東京大名誉教授は会見で

M7.6と地震の規模が大きかったことに加え、日本海側の海陸境界で発生した巨大地震の特

徴だと説明。


では、過去3大地震の以下の余震について比較してみました。


1)平成7年(1995年)兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)=本震:1月17日05時46分のM7.3(最大震度7)


最大余震は、1995年1月17日07時38分のM5.4の地震(最大震度4)

また、兵庫県南部地震の余震域の南西端に近接する領域で、2013年4月13日にM6.3の地震

(最大震度6弱)が発生。兵庫県南部地震発生以降、M5.0以上の地震は7回(1995年1月に5

回、同年2月に1回、2013年4月に1回)発生。

下の図(兵庫県)は、本震発生から約1ヶ月間に発生したM2以上の地震の震央を示してい

ます。丸の大きさは地震の規模(マグニチュード)の違いを表します。 この図から、余震は

本震の震央から北東と南西の方向に一本の帯状の領域(余震域)に沿って発生しており、全

体の長さは約50キロメートルに達していることが分かります。























2)平成16年(2004年)新潟県中越地震=本震:10月23日17時56分のM6.8(最大震度7)


最大余震は、2004年10月23日18時34分のM6.5の地震(最大震度6強)

下の図(新潟県)は、本震発生から約1ヶ月間に発生したM2以上の地震の震央を示してい

ます。丸の大きさは地震の規模(マグニチュード)の違いを表します。

この図から、M6以上の規模の大きな余震がいくつか発生していることが分かります。 本震

発生から約4日後(10月27日)にM6.1の余震が発生したほか、2週間以上(11月8日)経っ

てからもM5.9の比較的規模の大きな余震が発生しています。























3)平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)=本震:3月11日14時46分のM9.0(最大震度7)


最大余震は、2011年3月11日15時15分のM7.6の地震(最大震度6強)

下の図(東北地方東方沖)は、本震発生から約4ヶ月間に発生したM5以上の地震の震央を示

しています。丸の大きさは地震の規模(マグニチュード)の違いを表します。

余震は長さ500キロメートル、幅200キロメートルの広い範囲で発生しています。

その後、2012年12月7日にM7.3、2013年10月26日にM7.1、2014年7月12日にM7.0な

ど、本震以後M5以上の余震が頻繫に繰り返して発生しています。






















以上の過去の事例から、能登半島地震の「余震」は数年後、あるいは数10年後まで続くので

はないだろうか?








2024年1月23日火曜日

 地震を誘発する "流体" (水溜まり)とは?




以前にも記事にしましたが、地震を誘発する地下の"流体"(水溜まり)について、

東京大学地震研究所地震予知研究センター長の上嶋誠教授によると、能登半島の先端にある

珠洲市の地下十数kmには、“巨大な水溜まり”があることがわかっていますと言う。

(以下、上嶋誠教授の説明)

まず大前提として、内陸地震が発生する原因はプレートが割れることです。プレートが別の

プレートによって圧力を加えられ、ある日割れてしまうことで、地震が発生します。では、

どこが割れやすいかを考えると、前述の“水”がある場所の周辺です。

ただ注意してほしいのは、この地下に水がある場所が、震源地そのものになることはあまり

ないんです。地震は水のある場所ではなく、その周辺で発生します。水がある場所は、スム

ーズにプレートが動いてひずみが溜まりにくいのに対して、そのすぐ近くの水のないプレー

トは摩擦で動けず、ひずみが溜まりやすい。その結果、地震が起きると考えることができま

すね。地震を引き起こした断層の根本には、たいていの場合、大量の水が存在するので、今

はその水がどこに、どのように存在するのか調べています。

だが、ことは10km以上の地中深くの話。水を見つけることは容易でない。

そこで私たち研究グループでは、MT法という手法を用いて地下の状態を調べています。水が

ある場所は電気抵抗が減り、電気が流れやすいので、電磁気を使えば地下に存在する水の検

出が可能です。地下の深部を調べるためには、より長周期のゆっくりした電磁場変動を調べ

る必要があります。このために1カ所の調査を1カ月程度継続してデータを取っています。ま

た、電話回線を利用したネットワークMT法という手法も開発しています。これなら一度に数

十kmの広範囲を調べられますが、電話回線が光ファイバーに置き換わりつつあり、今後は利

用できなくなりそうです。

そもそも観測値から、実際の地下構造を三次元で求める計算式を開発したのが2000年代の初

頭。多くの研究者が活用し、地下の三次元構造が明らかになりだしたのが、2010年ぐらいか

らです。なので、まだ日本全国を網羅的に調査できているわけではありません。ただ、東日

本大震災後の内陸誘発地震域や熊本地震域など、大地震が起こった場所の地下に大量の水が

確認できました。実際にはその地中に水のある場所が点在しているという状態です。


たとえば、福島県いわき市と茨城県北茨城市の間に存在する水溜まり。(下の図)

ここは、東日本大震災後の2011年4月11日に、マグニチュード7の地震が発生した場所で

す。調べてみると、震源になった場所そのものには水がありませんでした。しかし、震源の

さらに下には、水が溜まっていました。水の上にある岩盤はより動きやすく、地震を起こし

やすいと考えることができるかもしれません。また、富山県と岐阜県の県境には、牛首断

層、跡津川断層、高山・大原断層帯という3つのベルトがあって、非常に活発な活動があると

されています。そのなかのひとつは、1855年に震度7の地震を引き起こしたとされていま

す。その周辺でも水が確認されているので、非常に注意が必要です。流体と地震の研究はま

だまだ発展途上ですが、“何かが起きる場所”と考えて、間違いはなさそうです。












































2024年1月22日月曜日

 4年前、能登半島珠洲市周辺で「謎の地殻変動」大地震の前兆だったのか?




京都大学の西村卓也教授が新たな手法で地震の発生を予測する研究を進めていますが、その

手法とはGPSのデータ(ミリ単位)を使って、地面が精密にどう動いているのかを調べま

す。それで地殻変動の様子がわかるのですが、地殻変動から地下で起こっている地震のメカ

ニズムや、断層でどのように「ひずみ」がたまっているのかというようなことが分かるとい

うものです。

そのGPSのデータから、能登半島珠洲市周辺の地盤が2020年12月ごろから3cmほど隆

起する前例のない「謎の地殻変動」を察知していたという。

西村教授によると「3cm」という地盤の動きは火山周辺ではみられるが、能登半島のよう

な火山のない地域では、通常では考えられない数値だという。

こうした動きに合わせるかのように、珠洲市周辺では2021年1年間に群発地震(下の地震回

数棒グラフ)が相次いでいる。地殻変動の原因などは分かっていないが、西村教授らの研究

グループはこうした動きをさらに詳細に探ろうと、地震の震源近くにある珠洲市の2か所に

独自のGPSの機器を設置し、現在も注意深く調査を続けている。


2021年1年間の群発地震













そして、GPSのデータ解析でひずみがたまっているとされる能登半島と同様に警戒すべき

場所は近畿地方です。

阪神・淡路大震災を引き起こしたのは、兵庫県の淡路島から阪神間に伸びる「野島断層」と

いう1本の活断層だった。近畿地方には「地震の巣」と呼ばれるほど活断層が集まってい

て、地盤のひずみがいま、こうした活断層などを動かそうとしている。

海側のプレートが陸側のプレートを引き込み、たまったひずみが解放されたときに発生する

南海トラフ地震。発生が近づくいま、特に西日本は活断層などが動くことで起きる「直下型

地震」への警戒が必要だという。









2024年1月20日土曜日

 能登半島地震の特徴と原因は?





能登半島地震では建物の倒壊や津波の被害、それに地盤の隆起も確認されています。なぜ起き

たのか。どんな地震だったのか。特徴や影響は、専門家取材や人工衛星画像の分析などから、

これまでに分かっていることのまとめ。

なお、当ブログの直近記事と重複する内容が一部含まれています。


(以下はNHKニュースウェブサイト:災害列島 命を守る情報サイトの記事を一部引用)



異なる3断層が、ずれ動いたか?

今回の地震では、北東から南西にのびるおよそ150キロの活断層がずれ動いたと指摘されて

います。1995年に阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震の活断層が50キロほどと

言われていて、長さだけを見るとその3倍にも及びます。



















さらに、震源域の断層の動きを専門家が分析した結果、能登半島の北東にある断層がほとん

どずれ動いていなかったことが分かりました(下の図の「薄い黄」「白」の四角で示すエリ

ア)。専門家はこの断層で規模の大きな地震が発生すると新潟県の沿岸に津波が押し寄せるお

それもあるとして注意を呼びかけています。





















また、能登半島の北岸の広い範囲で地盤の“隆起”が確認されています。

能登半島では陸域がおよそ4.4平方キロメートル拡大し、輪島市では最大で240メートル、珠

洲市では最大で175メートル、海岸線が海側に向かって広がったことが専門家の調査で明ら

かになりました。海水がほとんどなくなってしまった港湾も複数あるということです。

さらに輪島市では、防潮堤や海沿いの岩礁がおよそ4メートル隆起したことが専門家調査で明

らかに。能登半島の北側では過去に大規模な地震が繰り返してできたとみられる階段状の地

形があることから、専門家は「4メートルもの隆起はめったにないことで数千年に1回の現象

だ」と指摘しています。


能登半島では、2020年から地震活動が活発になっていて、地下に“流体”が流れ込んだことが

原因の一つだと指摘されていました。(下のイメージ図)

分析を続けてきた京都大学防災研究所の西村卓也教授は、この“流体”による地震活動が今回

の大地震の引き金となった可能性があるとしたうえで、今後、さらに広い範囲の地震活動に

影響を及ぼさないか注意が必要だとしています。






















2024年1月18日木曜日

 能登半島地震・震源域の全貌!



石川県・能登地方では2020年12月ごろから地震活動が活発な群発地震状態が続いていて、

2024年1月1日には一連の地震活動では最大となるマグニチュード7.6の地震で最大震度7を

観測しました。

政府の地震調査委員会によると、今回の地震は、能登半島に沿って北東―南西方向にのびる

長さおよそ150キロの断層で発生したとみられ、南西側は2007年の能登半島地震の活動域付

近に達していて、北東側の端は前回記事で記したように今後の大地震想定震源域とみられる

新潟県・佐渡島沖付近に位置します。



1月1日 本震発生から24時間の震源分布図 (気象庁資料引用)





























2024年1月17日水曜日

 今後の大地震発生想定震源域は?




1月1日発生の能登半島地震は、異なる断層が次から次へと連鎖的に岩盤破壊されて発生した

と言われています。

では、将来的に今後想定される大地震発生震源域について、或る地震予知学の専門家は次の

地図上の場所を指摘しています。

当地に最も近い場所は、新潟県・佐渡島沖(赤枠場所)ですが、前回記事の余震発生推移

データの中で、震源地が新潟県佐渡付近・上中越沖は16回で能登半島の震源域に比べ少ない

ですが、専門家いわく、今回の能登半島地震で岩盤破壊されない断層がまだ残っているの

で、今後大地震発生が想定されるという見解です。