2024年1月23日火曜日

 地震を誘発する "流体" (水溜まり)とは?




以前にも記事にしましたが、地震を誘発する地下の"流体"(水溜まり)について、

東京大学地震研究所地震予知研究センター長の上嶋誠教授によると、能登半島の先端にある

珠洲市の地下十数kmには、“巨大な水溜まり”があることがわかっていますと言う。

(以下、上嶋誠教授の説明)

まず大前提として、内陸地震が発生する原因はプレートが割れることです。プレートが別の

プレートによって圧力を加えられ、ある日割れてしまうことで、地震が発生します。では、

どこが割れやすいかを考えると、前述の“水”がある場所の周辺です。

ただ注意してほしいのは、この地下に水がある場所が、震源地そのものになることはあまり

ないんです。地震は水のある場所ではなく、その周辺で発生します。水がある場所は、スム

ーズにプレートが動いてひずみが溜まりにくいのに対して、そのすぐ近くの水のないプレー

トは摩擦で動けず、ひずみが溜まりやすい。その結果、地震が起きると考えることができま

すね。地震を引き起こした断層の根本には、たいていの場合、大量の水が存在するので、今

はその水がどこに、どのように存在するのか調べています。

だが、ことは10km以上の地中深くの話。水を見つけることは容易でない。

そこで私たち研究グループでは、MT法という手法を用いて地下の状態を調べています。水が

ある場所は電気抵抗が減り、電気が流れやすいので、電磁気を使えば地下に存在する水の検

出が可能です。地下の深部を調べるためには、より長周期のゆっくりした電磁場変動を調べ

る必要があります。このために1カ所の調査を1カ月程度継続してデータを取っています。ま

た、電話回線を利用したネットワークMT法という手法も開発しています。これなら一度に数

十kmの広範囲を調べられますが、電話回線が光ファイバーに置き換わりつつあり、今後は利

用できなくなりそうです。

そもそも観測値から、実際の地下構造を三次元で求める計算式を開発したのが2000年代の初

頭。多くの研究者が活用し、地下の三次元構造が明らかになりだしたのが、2010年ぐらいか

らです。なので、まだ日本全国を網羅的に調査できているわけではありません。ただ、東日

本大震災後の内陸誘発地震域や熊本地震域など、大地震が起こった場所の地下に大量の水が

確認できました。実際にはその地中に水のある場所が点在しているという状態です。


たとえば、福島県いわき市と茨城県北茨城市の間に存在する水溜まり。(下の図)

ここは、東日本大震災後の2011年4月11日に、マグニチュード7の地震が発生した場所で

す。調べてみると、震源になった場所そのものには水がありませんでした。しかし、震源の

さらに下には、水が溜まっていました。水の上にある岩盤はより動きやすく、地震を起こし

やすいと考えることができるかもしれません。また、富山県と岐阜県の県境には、牛首断

層、跡津川断層、高山・大原断層帯という3つのベルトがあって、非常に活発な活動があると

されています。そのなかのひとつは、1855年に震度7の地震を引き起こしたとされていま

す。その周辺でも水が確認されているので、非常に注意が必要です。流体と地震の研究はま

だまだ発展途上ですが、“何かが起きる場所”と考えて、間違いはなさそうです。












































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